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東京染め江戸小紋巻見本とは

 昭和50年ごろまで、染物店や悉皆屋という商売が盛んでした。いわゆる、お客様と着物に関する各種職人さん達の仲立ちをするコーディネーターのような存在と考えていただいてかまわないと思います。そうした各店では、お客様に、染める柄の風合をリアルに体感しながら選んでいただくために、染め元に柄を複数半反に染めてもらい、カタログの役目とする反物巻物を多く作りました。店側でも、優れた柄を選んで発注し染めてもらうことが多かったため、そうした巻き見本では、一本の反物の中に、その時代の職人の技術が詰め込まれた柄が、数十、染められていたのです。

 昭和40年代ごろ、染物の技術は職人達の切磋琢磨によって、頂点を迎えつつありました。その頃の巻き見本には、現在では失われつつあるそうした技術の粋が詰まっているということが出来ると思います。

 巻き見本自体、染物店や悉皆屋、そもそも染め職人が激減してしまった現在、ほとんど製造されておりません。しかし、長年、染物店を営んできた当店には、そうした着物や染物にとって良い時代の財産を、大事に保管し、またコレクションをしてきました。

 近年、着物リフォームや、和布やハギレを使った小物作り、パッチワーク、などの手芸用の素材とするため、和布の需要が高まっています。当店では、失われつつある職人の技術の粋の詰まった巻き見本を和布ハギレとして再生させ、販売させていただくことにしました。

 手染めならではの心の通った本物の色の深み、美しさ、正絹の出ざわりや、さまざまな職人の技術の粋を味わうことが出来るお品物です。

 江戸小紋独特の小粋で品のある柄、灯火をつむぐように受け継がれ発展してきた高度な技術で染め上げた細かく繊細ながらの和布、今失われつつある伝統の素材の最後の輝きを、ぜひ皆様の手で作り上げていただければと思っております。